創業安政5年　近江の作り手にこだわる老舗　中川誠盛堂

　大津の「京町通り」と呼ばれる旧東海道沿いにある中川誠盛堂は、創業安政5年（1858年）という老舗。朝宮茶、土山茶、政所茶といった近江の茶を代々扱ってきました。その信念は「本物の味を知ってもらう」ということ。添加物は一切使わず、それぞれの産地の茶を生産者の名前を出して販売しています。

　店頭で毎日手作業で炒られているのは、今一番人気の「近江赤ちゃん番茶」。春に摘む春番茶はカフェインがほとんど含まれないことから、近江では古くから「赤ちゃん番茶」として親しまれてきました。

　最近の研究で、茶葉に多く含まれるポリサッカライドという成分は番茶を水出しすることで、より多く抽出できることが明らかになりました。ポリサッカライドには血糖値の上昇を抑えるはたらきがあることから、「近江赤ちゃん番茶」は健康に良いお茶として注目されるように。今ではネット通販で全国的な人気商品となっています。


　「正直であることを何より大切にしています」という五代目の店主、中川武さん。嘘をつかずに正直にやってきたからこそ商売が長続きした、その頑固さこそが老舗の持ち味、というのがその思い。人気の「近江赤ちゃん番茶」にも、そんな老舗ならではの正直さが活きています。