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【旧宿場町は和菓子天国 vol.6】新しい感性を取り入れた和菓子を作る<御饅頭処 餅兵>
東海道最大の宿場町だった「大津宿」を背景に、おいしい和菓子を作る店がたくさんある大津百町エリア。
真心がこもった和菓子屋さんが徒歩10分圏内に集まっているなんて、大津百町エリアは和菓子好きさんには天国のようです。
第六回目は、旧東海道沿いに立つ老舗中の老舗和菓子店です。
クリエイティブな発想から和菓子をつくる<御饅頭処 餅兵>
季節の果物を使った大福が大人気で、昼過ぎには連日売り切れるという<御饅頭処 餅兵(おまんじゅうどころ もちひょう)>さん。
定番の和菓子をモダンにアレンジした印象が深いお店ですが、創業は宝暦年間(1751〜1763年)という、大津百町エリアでも老舗のなかの老舗です。
現在、お店を営むのは八代目店主の梅村眞司さん。先代(お父さま)の頃とは並ぶ和菓子の顔ぶれが一変しているそう。
お父さま見たら驚かれるかもしれません。
<御饅頭処 餅兵>さんのいちご大福に使われる苺は、 “いちご職人”歴16年の地元大津の農家さんが丁寧に育てた3L〜4Lサイズ。
百貨店などで高価格で販売されそうな上質なものです。採れたてが届くので、色も艶も別格。ヘタを取るときに「パリン」と音がなるほど元気です。
苦労して見つけた極上の苺は、<御饅頭処 餅兵>のあんこや餅によく合います。
その仕事ぶりに、先代も天国で納得してくれることでしょう。
桜餅の中に大福用よりも少し小さめの苺を入れたいちご桜餅270円(2/4〜4月中旬)。
ひときわ美しい断面に見とれてしまいます。
梅村さんは家業を継ぎ、和菓子作りの難しさに直面し、職人の和菓子に対する哲学や様式美を理解できたといいます。
先人をリスペクトしながら新しい商品開発に意欲を燃やしました。2018年何度も試作を重ねた結果、ピスタチオを餡に仕立てることに成功したのです。
完全オリジナルなピスタチオ大福はまたたく間に人気商品となり、現在その後を追うのが写真のヘーゼルナッツ大福290円です。
餅にしのばせた砕いたナッツとドライ木苺が大福に新しい風を吹かせています。
通年販売されている豆大福180円。粒あんと大粒の黒豆入り。
シンプルな餅と程よい甘さの自家製あんをたっぷり味わえる定番商品。
うぐいすもち250円(2/4〜3月中旬)。
青えんどう豆で作るうぐいすあんとこしあんの二重あん。
餅にたっぷりふりかけた青えんどう豆きなこが風味豊か。
「御餅所」と書かれている創業当時の看板。
260年以上続く伝統をつなぐためには「現状維持」ではなく求められるものを「プラス」していく必要があると語る梅村さん。
今は、他の和菓子店がまだやっていないことにチャレンジしているそう。
絶えずオリジナルのお菓子の着想を得ようと、日々アンテナをはっています。
店に飾られている「行器(ほかい)」。嫁入りの際に紅白饅頭を近隣に配るために使ったそうです。
「螺鈿(らでん)」と呼ばれる貝を彫刻して木地に埋め込んだ豪華な装飾がされています。
「大切に後生に残すように」と先代の遺言が伝わる貴重なもの。
旧東海道でも、<御饅頭処 餅兵>さんのあたりは比較的古い建物が残るエリア。
当時を思いながら歩いてみるのもいいかもしれません。