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【旧宿場町は和菓子天国 vol.1】食べて良し、贈って良し、明治生まれの門前菓子<三井寺力餅本家>
江戸時代、庶民にとって旅行は高嶺の花。地域や団体で資金を集め代表者が旅をしたそうです。
となると、必要になるのが帰ってから配る「土産」。
人気があったのは今と変わらずお菓子だったようで、「地誌」と呼ばれる当時の旅行ガイドには名所案内だけでなくお土産にぴったりのお酒やお菓子が紹介されていたとか。
当時、東海道最大の宿場町だった「大津宿」には幕府公認の上菓子屋仲間が19軒あり、大津宿の和菓子の評判は江戸にも届いたといわれています。
このような歴史を背景に大津百町エリアには今でもおいしい和菓子を作る店がたくさんあります。
江戸時代の和菓子文化を継承する老舗から、売り切れ必至の人気和菓子店までをシリーズでご紹介します。
VOL.1は京阪びわ湖浜大津駅近くの、あの名店からスタート。
食べて良し、贈って良し、明治生まれの門前菓子<三井寺力餅本家>
京阪びわこ浜大津駅前の交差点にある<三井寺力餅本家(みいでらちからもちほんけ)>さんの営業開始は朝7時。
それも年中無休というから驚きです。
店名にもなっている名物「三井寺力餅」は、明治初期に三井寺の弁慶怪力伝説にちなんで門前で餅を売ったのが始まりだそう。
こちらのお店は明治2年(1869年)に初代がスタートされ、現在は五代目の滋野啓介社長が継がれています。
店内ではお茶付きで3本540円でいただけます。
お皿に残ったきな粉を食べるためのスプーンがついているのが親切ですね。
お店の方は毎朝4時頃から作業をスタート。
注文後にやわらかいお餅に秘伝の甘い蜜をかけ、仕上げにたっぷりときな粉をまぶします。
できたてのお餅のやわらかさがおいしさの秘密なので作り置きはしないそう。
少し緑がかったきな粉は、青大豆、大豆、抹茶をブレンドしたオリジナル。
素材にもこだわっています。
お店を訪れたら、ぜひ2階にある「大津絵ギャラリー」へ。
大津が宿場町だったころ、お守りやポストカードのようなお土産として販売され、人気があった伝統民画「大津絵」。
当時は多くの人が描いて販売していたようですが、現在では<大津絵の店>のみで販売しています。
ギャラリーでは四代目高橋松山さん(1932〜2018)が描かれた大津絵と、昭和29、30年頃の大津の風景画などが展示されています。
あのパブロ・ピカソも所蔵していた大津絵は必見です。
入場無料。
スタッフの方のお肌がツヤツヤなのにビックリ!
毎日きな粉を浴びているからでしょうか? お持ち帰りは3本324円〜。
地元の人が県外に出かける際に手土産として利用されることが多いそうで、出発前に間に合うように朝7時の開店なんですって。
「できたてのやわらかいお餅を相手に食べてさせたい」という地元の人の思いを叶えた営業時間だったのです。